Page Text: 画像1:優れた顧客体験の提供に注力した企業とそうでない企業の株主総利回りの比較、出典:Forrester Customer Experience Performance Index(Forresterの顧客体験パフォーマンス指標)2007~2009年、 McKinsey & Company の資料より
だからこそ、特に営業、マーケティング、カスタマーサービスの各チームはその場しのぎや目先の解決策にとらわれず、先行きが不透明な中でもしっかりと顧客に向き合うことが重要になります。これは企業の行為として適切であるだけでなく、好況か不況かを問わず、長期的に持続可能なやり方でビジネスの水準を維持するために最も効果的です。
営業チームは焦らず、見込み客の課題解決に集中する
成長が停滞する時期、営業チーム総出で見込み客に働きかけ、新規顧客の獲得に乗り出したくなるものです。しかし、このやり方は逆効果です。経済の先行きが不透明だと、見込み客は予算を削減し、購入の意思決定に慎重になっていることが多いため、定型のEメールや飛び込みの電話営業に好意的に反応する可能性は低くなります。
HubSpotの調査 によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生に伴い、営業チームはEメールによるアプローチを23%増やしているものの、そうしたEメールに対する平均応答率は27%低下しています。
営業チームは、アプローチを増やすのではなく、見込み客が目下抱えているニーズに集中して対応する必要があります。一緒に解決策を模索し、長きにわたる信頼関係の構築に向けて努力することが大切です。
可能であれば、自動送信のEメールを親しみやすい文面に変更し、COVID-19で最も大きな打撃を受けているセグメントや業界を考慮してターゲット市場を見直しましょう。また、困難な経済情勢を反映して売上予測を修正してください。そうすれば、営業担当者が焦って短期的な成果を追い求めずに済みます。
このアプローチにより、短期的には営業チームが成約件数を増やせる可能性が高まります。しかし、もっと重要なのは見込み客への強い共感や理解を示すことで新しい取引関係を構築し、長期的な成功へと導いていけるということです。
今こそ、マーケティングチームの真価を発揮する
マーケティングチームも課題を抱えています。企業が成長している時期に計画したキャンペーンやクリエイティブなコンセプト、コミュニケーションプランの多くは、経済的に困難な状況に陥ると、意味をなさなくなったり、まったく見当違いなものになったりします。
綿密に練り上げたマーケティングプランを保留にしたり白紙に戻したりするのは勇気の要ることですが、予定どおり進めてしまうとオーディエンスの反感を買い、何年もかけて築き上げてきた顧客との信頼関係が一瞬にして崩れ去るおそれがあります。